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設立50周年を迎えられたHDC社のこれまでとこれから

今や当たり前に使われているパソコンですが、一般に普及され使えるようになったのはここ20年ほどの最近のことです。今日は、今年設立50周年を迎えられた、会員企業のHDC社の50周年とこれからについて、熊谷常務と、鏡取締役のお二人に話を伺ってきました。

怒涛の変革期だった50年

HDC社が設立された1971年、当時の電子計算機はとても大きく場所を取るもの且つ、とても高価であったため、電子計算機を中小企業が保有し、業務に活かすことは非常にハードルが高いことでした。同社は北海道銀行や富士通の出資の元、電子計算機の共同利用を目的に設立され、北海道電子計算センターと名付けられました。銀行やベンダーが出資した会社と聞くと、親会社や関連会社のシステムを構築したり運用をする企業をイメージするのですが、HDC社はいわゆるユーザー子会社と言われる会社として設立されたのではないと言います。

当時同社が活用していた、電子計算機。

熊谷「当社は札幌総合卸売センター内の主要企業などの電子計算機の共同利用を目的に設立されました。ですので、一般的に多い出資している親会社や関連会社のシステムを作る、運用するといったような目的で設立された企業ではないのです」

電子計算機を共同利用し、給与計算などを受託する事を主業務として設立された同社ですが、パソコンの一般普及が進むに連れて電子計算機の運用ではなく、システムインテグレーターとして、企業などで使われるシステムの構築事業やパッケージの開発や販売事業へ舵を切っていきます。どのようにして、事業内容を変えていくことができたのでしょうか?

熊谷「変わったというよりも、変わらなければ生き残れなかったという方が近いのではないでしょうか。時代の流れに沿って事業内容を変えていく必要があったんです」

熊谷常務

この50年のIT業界の筐体の移り変わりを改めて考えてみると、ものすごく大きな変革が必要だったということもわかります。

電子計算機という大きな筐体を利用し基幹業務をするという仕事の仕方から、一人一台パソコンが与えられ、社内ネットワークに接続し社内にサーバーを設け、ソフトウェアを動かす時代に、そして、今やクラウドの時代で、パソコンが手元にあるのは当たり前、基幹システムもオンプレ型ではなく、クラウド型やWEBサービス型のものへリフトアンドシフトと言われる時代になりました。

記録媒体も、128KBから始まったフロッピーディスクが1MBになり、新しい記録媒体のCD-Rが発売され、USBそしてメモリーカード、SSDやクラウドサーバーへと変化をしていきました。今や、フロッピーディスクよりも小さいサイズでテラバイトのデータを保管できるSSDを持ち歩ける時代です。

HDC社が創業してからの50年はまさに目まぐるしく、状況が変化し、まさに怒涛の50年とも言える時代だったのではないでしょうか。
現在の事業内容と、顧客について

現在の同社の事業は大きく分けて5つあります。

・システムインテグレーション事業
・パッケージソリューション事業
・アウトソーシング事業
・オリジナルサービス
・エンジニアリングサービス

同社50周年記念動画より抜粋

事業内容も多岐にわたりますが、顧客も公共系から医療、法人、金融と、様々な顧客の要望に答え、ソリューションを提供しています。

公共系いわゆる行政や公共団体などのシステムのインテグレーションやパッケージシステムの提供というと、昨今話題のガバメントクラウド対応があるかと思います。実際のところ、各自治体の反応はいかがなのでしょうか?

熊谷「ガバメントクラウドの詳細要件がわからないことには、明確なことも言えないのですが、当社が販売をしている地方自治体向けのパッケージソリューションである「STARS Web Edition」を使っていただいている複数自治体と、現在話をしています。現状の業務と国が作成する標準仕様との差異をシステムに適用する(Fit&Gap)と、既存システム改修には新規システム構築と同等の膨大な工数がかかることが想定されています。また、当社のシステムを利用してくださっている自治体は、人口3万人以下の市町村が多く、中核都市の自治体を想定したシステムとは運用にかなり違い(業務の流れ、窓口の規模等)があります。今使っていただいている自治体については、お客様と今後どうしていくべきなのかという点を、一緒になって考えていくということが、私どものミッションだと思っています。」

政府の意向として、自治体のシステムはガバメントクラウドに載せるという方針が打ち出されてから早1年。詳細の要件は未だ出てこない状況で2025年という移行目標は刻々と迫ってきています。どのように対応すべきか、そして自分の自治体はその要件に対応できるのか、自治体の担当者としては、不安なことも多くあるかと思います。

そこに対して、丁寧に向き合い一緒に膝を突き合わせて解決策を考える、そういった真摯な姿勢が、50年間HDCを繋ぎ継続させてきたのかもしれません。
人を丁寧に育て土壌を作る会社

最後に、今後の展開についてお話を伺いました。

熊谷「今後については、まずは時代の変化に取り残されず、生き残り続けられる会社でなければいけません。北海道銀行グループや富士通といった株主の存在によって、安定安泰ということはありますが、それでも選ばれ続ける企業であるために変革を続ける必要はあると思います。そのためには、人材の育成が肝になると思っています」

鏡「Javaしかできない。Cobolしかできない。そういったスペシャリスト人材としての育成では無く、マルチに活躍できる人材を育てていく必要があると思っています。」

鏡取締役

HDC社では、昨年から新卒採用時の新人研修は全て自社内で行われており、システム開発の研修から、ビジネスマナーの研修まで、全て同社の人事担当が企画し運営まで行われていると聞いています。

熊谷「Javaをマスターした後の、スキルマップやステップアップに関してのロードマップのようなものを作ってあげる必要もあるのかもしれないですね」

鏡「人材育成に手厚いという理由で、当社を選んでくれる学生も非常に多いです。専門学校からの卒業生よりも、大学を卒業してITエンジニアになりたいと、思った方が丁寧に教育をして育ててくれるからという理由で、当社を選んでくれることが多いのも特徴です。新卒が多いのもあり、会社全体で育てていこうという風土があるのも、教育体制が整うために非常に大事な要素だと思っています」

即戦力を求めがちなIT業界では、なかなか新卒や学生を受け入れて育てていこう!という風土にならない会社が多いのも事実です。そんな中で、HDC社のような企業があり、0からでも育てていってくれることで、IT業界に関わりたいと思った学生に対して間口を広げることができるというのも、北海道のIT業界にとっては非常に喜ばしいことなのではないでしょうか。

人を育てるということは、組織の風土を醸成するということだと思います。そしてそれは会社を継続していく上でとても重要なことであると同時に、とても難しいことでもあります。
丁寧に人を育ててきたからこそ、HDCさんの50年があったのかもしれません。

設立50年目、誠におめでとうございます。
取材を受けていただき、ありがとうございました!

中小企業の初めてのシステム導入におすすめなWEBサービス4選

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いつものインタビュー記事とは雰囲気を変え、今日は多くご相談をいただくこんな内容についてです。

ITを使って何かやりたいのだけど・・・何から手をつけたら良いのやらわからないので、とりあえず、アプリって作れますか?

札幌市内中小企業の経営者からの問い

IT企業ではない中小の企業から、このようなご相談をいただくケースが増えてきました。改正電帳法の試行も年明けに迫ってきたり、デジタル化だー!という世の中の流れだったり、ITを活用すると、補助金を出しますよ。という、制度だったり、いろんなものが後押しをして、今までどう関わって良いかわからなかった、「IT」や「システム」に興味を持つ事業者が増えてきたとことを強く感じます。

一方で、こんな声も。

こんなにお金がかかるとは思わなかった。

問い合わせ後の反応

アプリ一つ作るのも、サイト一つ作るとしても、安価なものではありません。経営者の方々が思う以上にシステムやアプリってお金がかかるのです。ですが、ちょっと待ってください!!!せっかくITに興味を持ってくださったのに金額が壁になり、導入を諦めてしまうのは、勿体無い!!ということで、最初の一歩として、自社や会社のメンバーで会員登録をするだけで利用ができたり、プログラミングが必要なく、IT導入ができるサービスを厳選4種類ご紹介します!!(一つは画像制作のWEBアプリです)

目次

初めに

どのITシステムを導入する上でも大事なことは、現在の業務について改めて考えることです。既存の業務を全て可視化した上で、どの部分をITに置き換えれば楽になるのか、スタッフが本来やるべき業務に取り組むことができるのかを、丁寧に考えていきます。

システムを入れるのが先なのか、システムを入れながら既存業務を改善していくのが先なのかも、同じタイミングで考える必要があります。前述の現在の業務について可視化や認識ができていないと、「折角頑張ってシステムを入れたのに使わなくなった。」「システムが入ることで作業が煩雑になってシステムを使わなくなった」となってしまうことも・・・

ITシステムを入れるタイミングは、仕事の仕方を見直すタイミングでもあります。
ぜひ、年末年始に時間をとってじっくり業務の棚卸しをしてみてはいかがでしょうか?

顧客管理システム

Hubspot

Hubspot 製品ホームページ

一定の機能は無料で使うことができるHubspot。顧客台帳を作成したり、HP経由で問い合わせをしてきたお客さんの情報も溜めることができます。また、チャット機能をホームページに設けることもできたり、ダイレクトメールを送るなどのマーケティングにも活用ができます。

製品名Hubspot
製品ページhttps://www.hubspot.jp/
料金有料(一部無料)
日本語対応
機能顧客名簿、マーケティング、請求書発行など、多数

ホームページ制作

wix

wix製品ホームページ

画像やHPに持たせたい機能を、掴んで意図する場所に置いていくだけで、機能をたくさん持ったWEBサイトが完成します!ECサイトはもちろん、予約機能を設けることも可能です。(有料)プログラミングをせずとも、多機能なサイトを作ることができ、WEBサイトを活用して何か始めてみたい!という方には、非常におすすめです。

製品名wix
製品ページhttps://ja.wix.com/
料金無料で一部機能は利用可能,有料
日本語対応
機能ホームページ作成、予約機能、物販アプリ、ブログ機能など

ECサイト作成

BASE

BASE製品ホームページ

プログラミングや難しいことは一切なく、ネット上でお店を開くことができるサービスです。BASE以外にもさまざまなサービスがあるのですが、日本で作られたサービスであるがゆえの使いやすさが、特徴です。

製品名BASE
製品ページhttps://thebase.in/
料金無料で利用可能,決済手数料は有料
日本語対応
機能ネットショップ機能

デザイン

Canva

Canvaのサービスページ

WEBサイトやWEBアプリではないのですが、サービスを提供する上ではデザインも大事な要素です。Canvaでは一部サービスを無料で利用することができ、ブログに投稿するときの画像や、SNSに投稿するときの画像をおしゃれに、簡単に作成することができます!!

製品名Canva
製品ページhttps://www.canva.com/ja_jp/
料金一部無料で利用可能
日本語対応
機能画像作成

まとめ

上記のサービスも、システム開発を主とする企業の人たちに依頼をし、追加で機能開発や連携をしてもらうことで、より難易度が高いこともできるようになります。とはいえ、最初から難しいことや多い機能が全て使いこなせるかというと、そうでないことも多いかと思います。

一歩一歩ステップアップしていくように、まず何か作ってみたい!と思った際には、自分で最初のシステムは作ってみる。といったようなことができる世の中です^^

一度、触ってみてはいかがでしょうか!

なお、北海道IT推進協会の所属企業にはHubspotや類似サービス、そのほかのホームページ制作などを生業にしている企業が多く所属しています。次のステップを検討される際、もしくはサービスサイトの改修やサービスのオンライン化を検討の際は、当協会の会員企業にぜひお問合せください^^

会長が行く!システムバンク社

​​今日は会長が行くシリーズ第二弾!!
システムバンクさんへ訪問してきました!!

新しい社長が就任されたということで、
就任お祝いと、会社の事業について伺ってきました!!

システムバンク社は何をしている会社?

システムバンクは大通公園に面した、住友商事・フカミヤ大通ビルにあります。

1984年に創業、今年37年目の企業です。システムインテグレーターだということは、IT推進協会に所属されているので、みなさんお分かりかと思うのですが、主にどのようなシステム開発を行なっているのでしょうか?

「創業当初は受託開発で始まった会社ですが、約30年前から公営住宅管理システムを始めとする自治体向け業務システムが事業の中心となっています。特に公営住宅管理システム「住まいるシリーズ」は全国285団体で利用されているシステムなんです。また、病院や介護施設などでご利用いただくシステムを作り販売している会社です。」

そう教えてくれたのは、11月15日に同社社長に就任された、中村さんです。

応接室には、システムバンク社が作っているシステムを導入している市町村がわかりやすいように、色塗りをされているものが飾られていました。

北海道では、ほぼ全ての自治体や団体で、同社のシステムが導入されている状況だと言います。そして北海道だけではなく、全国各地で利用されていることがわかります。

行政関連のシステムというと、前々からMikketaでも取り上げている行政システムのLG-WAN化、そして2025年を目標としたガバメントクラウドです。そう言った政府主導のデジタル化やITシステムの標準化に伴い、利用自治体が減ってしまったり、何か影響が発生することはないのでしょうか。

関連記事:教えて!わかるヒト!行政デジタル化について(札幌市)

「LG-WANやガバメントクラウドは、『この会社のこのシステムを使いなさい』と国から自治体に対して指定があるわけではなく、LG-WANやガバメントクラウド対応しているシステム=同環境で使えるシステムを利用してくださいね。という指定なのです。ですから、弊社のシステムもLG-WAN対応をしていますし、ガバメントクラウドに関しても対応予定です」

システムバンク社の社長に就任された、中村さん

公営住宅の管理は、納税状況や所得情報など機密情報を扱うことも多い業務です。そして、公営住宅法という法律に沿ったものでなければいけません。そういった意味でも、LG-WAN対応やガバメントクラウド対応することで、引き続き利用していただけるお客様が多いのではと予想しています。

これだけ多くの市町村や公共団体が導入してくれるシステムなのであれば、必要とされるシステムでもあり、定期的な発注も見込めるシステムなため、競合も自ずと増えていく領域なのではないでしょうか?

「たしかに競合が増える可能性は否定できません。ですが、公営住宅法という法律にプラスして、各市町村の条例で申請書の項目などが違ったりします。そうすると、申請書に沿って、細かいカスタマイズが必要になり、メンテナンスする回数や項目が増えます。カスタマイズが増えると、バグが増えるというデメリットもあります。そこをできるだけ発生しないように、保守運用しなければいけないので、維持管理にはかなりのコストを割く必要があります」

今後どういった会社にしていきたいか?

各自治体や、公共団体の声を聞き続け、必要とされるシステムを作り続けてきたシステムバンク社ですが、中村新社長は、今後どのような会社にしていきたいのでしょうか?

「やはり、主力である公営住宅管理システムの導入数を日本で一番にしたいですね。と同時に、より売り上げを増やしていくことを目指して、官民問わず請ける仕事の幅も広げていきたいです。でも、それには弊社のような中小企業1社だけではどうにもならないことも多いと考えてます。今後、道内の他IT企業とタッグを組み、うまく協業しながら、道外の大手企業に対抗できるようなネットワークを作って行きたいです。あとは、今多くの自治体の病院や介護士施設などに導入していただいている、シフト作成のシステムを早々にクラウド化し、より多くの方々に利用してもらえるようにしていきたいです。そのためには、社員にも各々新しいことにチャレンジしてもらう必要がありますし、私自身もチャレンジを続けられる経営者でありたいです」

これからの、システムバンク社の発展を祈念しております!

札幌市のGIGAスクールは今 〜前回取材から1年〜

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昨年10月にお伺いし、学校教育のDXである「GIGAスクール」についてお話を伺った札幌市教育委員会。

札幌市教育委員会のGIGAスクール構想 | Mikketa!!~北海道IT情報発見!発掘!メディア~

GIGAスクール開始前の3月から4月にかけての、Mikketaへのアクセスはほぼ「GIGAスクール」というワード検索での流入が多く、皆様の関心度の高さを伺い知ることができました。

さて!今日は続編です!!前回お話を伺ってから1年が経ち、あの当時は「まずはなんとか1人1台端末の導入実現を」という段階ではありましたが、実際どのような感じで進んだのでしょうか!早速お話を伺ってきました!

想像以上に順調に進んだ導入と推進

お話をお伺いしたのは前回同様、札幌市教育委員会の水野課長と今年の4月から学校より異動されてこられた伊達課長です。「1年ぶりですねー!」のご挨拶とともに、水野課長が持っている紙に視線が釘付けになる編集部。その紙には「GIGAスクール通信」と書かれていました。

GIGAスクール通信は、札幌市内の小中学校でICTをうまく活用できた!という事例を現場から集め、教育委員会が月1回学校現場へ事例紹介として紹介するために作成しているものだそうです。

この「おたより」とついつい呼びたくなってしまう、可愛いフォーマットのお知らせは、インターネット上でも公開されていて、誰でも見ることができます。

ICTを活用した教育の推進

おたよりには、導入されているツールの活用方法以外にも、授業内でどういった取り組みが行われているのか、どのような工夫をしているのかが記載されており、市内小中学校の教員宛に配布されているものとのことでした!こういったおたよりがあると、他の学校の取り組みを知ることができ、良いものをどんどん取り入れていく土台が作られていきそうですね!!

前回の取材から1年が経過し、モデル校以外の生徒たちが端末やICTに触れるようになった4月から早くも8ヶ月が経過したわけですが、学校現場からの反応はどうだったのでしょうか。

「概ね良好です。新しいことに学校として取り組んでいくにはたくさんのエネルギーが必要となります。例えば、新しいソフトウェアを入れたら、その使い方を教員がマスターしなければ、子どもに教えることはできませんので、教員はとても大変でした。でも、端末やソフトを活用することに慣れてきたら、今までできなかったことが一気にできるようになるなど、学びの可能性が広がることを実感できます。(端末やソフトウェアの)導入時は大変でも、実際に活用してみて、その効果を感じている教員は多いと思います。」と、伊達課長は言います。言葉に熱があるなぁ。なんて思いながらお話を聞いていたのですが、それもそのはず、今年の3月までモデル研究校である中央中学校の教頭先生をされていたんだそうです。実際に現場にいて、先生方や生徒たちの反応を見ていたからこそ、良い面だけではなく悪い面もご自身で経験されていたからこそ、話される言葉に重さと熱さがあったんですね。

「私自身、ICTに詳しかったわけではないのです。学校全体を俯瞰して、うまく進むように体制づくりをしていくのが教頭の役割なので、教員同士による学び合いなどのコーディネート等は、ICT担当教員や積極的な教員に任せていました。モデル研究校としてやってみて思うのは、みんなでICTを導入していこうという、雰囲気の醸成がすごく大事だということです。そのために、教員の役割分担を明確にしました。最も高かったハードルは教員の意識改革です。教員が受け入れなければ、子どもへの活用を促してはいけないので、いかに前向きに取り組んでもらえるか。ということを常に意識して、働きかけを行っていました。」

”概ね良好”と、伊達課長がいう札幌市のGIGAスクール推進。「今年1年間は展開の年。」と、以前のインタビュー時にも言っており、1年間かけて「みんな1人1台端末を活用できるようになったね。」と言えるようにするというのが初年度の計画だったといいます。ですが、先生方の頑張りと、児童・生徒の頑張りの相乗効果によって、想像以上のスピードでICT活用の教育活動が進んだそうです。

「端末を活用できるようにすることが目的ではなく、端末を学習ツールとして効果的に活用し、学びにつなげることが目的である。」というのが、札幌市教育委員会の共通の認識だといいます。ツールを使えるようになった上で、子どもたちの”学び”にどういった良い影響があるのか。また学校での活用だけで終わらせるのではなく、学校の授業と家庭学習を接続するというのも、GIGAスクール構想を考える上での大事な観点の一つです。

「端末の家庭への持ち帰りについては、感染症や災害時にやむを得ず登校できない児童生徒に対する学習支援のために行うことを可能としていましたが、9月からは平常時における持ち帰りも可能としました。このことにより、授業と家庭学習の接続を図るだけでなく、学習・生活習慣づくりにも期待できます。新しく導入した学習を促進させるソフトウェアは自宅でも活用でき、子どもは端末を活用しながら、自分のペースで学びを進めることができるようになっています。また、苦手な部分を克服するための問題を重点的に解くことも簡単にできるようになっています。まさに、個別最適な学びにつなげていけるというわけです。」

差ができないような工夫と取り組み

とても順調に進んでいるGIGAスクールですが、次のステップを見据えた際の課題について、「学校差ができないように底上げをする、というのが現時点での大きな課題」と伊達課長が教えてくださいました。

これはどこの組織でも、新しいものを導入した際に、起こり得ることですよね。新しいものをおもしろい!と思ってドンドン試していくグループと、既存のやり方の踏襲を目指すが故にゆっくり進むグループと、組織が大きかったり、独立化していると起きやすい問題だといえます。札幌市には小中合わせて約300の学校があります。それぞれが同じ場所にあるわけではないので、同じように進まず、進度に凹凸が出てしまうのも仕方ないことだと言えるのかもしれません。

一方で、こと子どもの学びとなるとそのようなことは言っていられないのも現実です。例えば、中学校への進学のことを考えてみるとどうでしょう?「あんなに小学校で端末を活用していたのに、中学校では、・・・。」ということが起こる可能性があります。また、小学校から中学校に進学する際、同じ小学校からの生徒だけではなく、周辺の小学校から生徒が集まってくると言ったようなこともあるのではないでしょうか。そうなった時に、「うちの小学校ではこんなことはやってなかった・・・」ということが起こる可能性もあります。小中連携・小小連携は、ICT活用という側面からも重要です。

「来年4月から、市立の高校でもGIGAスクールが始まります。まずは1年生からという形です。中学校で使ったものを高校になったら、『ちょっとできません』という話にはならないですよね。ちゃんと継続させていかなければなりません。」

「本市では、小中一貫教育の促進も行っています。言葉は聞かれたことがある方もいらっしゃるかもしれません。言葉だけ聞くと、小学校と中学校が同じ土地にあって、同じ校舎で学んでというものをイメージされるかと思うのですが、本市は、小中一貫した教育として、小学校1年生から、中学校3年生までの9年間を通した学びのつながりや、子ども理解・生徒指導の連続性を大事にしていきましょう。というのを全ての市立学校で展開していきます。この小中一貫した教育は、次年度から全面実施となります。」

具体的に話を聞くと、各中学校がハブ(中心)になり、周辺にある複数の小学校とパートナーになり、校種間の連携による連続性のある教育活動の充実を図っていくというものだそうです。学びは、各学年だけで終わるものでもないですし、小学校だけで終わるものでもありません。小学校と中学校の9年間がつながって初めて、基礎となる学びが身につくとも言えます。そうなった時に、中学校に進学したからといって、今まで学んでいたものが活きなくなってしまうと非常に勿体無いですよね。そう言ったことがないように、9年間通して子どもの学びや成長を支えていきましょうという取り組みなのだそうです!今後どのように展開されていくのか、とても楽しみですね!!

GIGAスクールが始まって起きた変化

「実は、GIGAスクールが始まったことで、別室登校している子どもにも、教室で受けている授業と同じ授業を届けられるようになったんです。その結果、クラスの雰囲気に馴染むことができ、教室に入れるようになったという報告もあります。」


思わぬ変化だったと二人は口を揃えて言います。もちろん、毎日教室に行くようになるというのは非常にハードルが高く、教室に行ったり、別室登校をしたり、状況によって使い分けているのだそうですが、「教室に入ってみる」というアクションができるようになったのは、紛れもなく遠隔で教室と同じ授業を受けることで、クラスの雰囲気を知れたことが要因なのではないでしょうか。

そうなると、授業もオンラインでできるようになるのでは??と思い聞いてみるとこのような回答が返ってきました。

「新型コロナウィルスの第六波に向けて、9月下旬に各学校に通知を出しています。授業配信等に向けた接続テスト並びにリモートテスト(双方向体験)を実施してください。といった趣旨のものです。ですから、11月中旬現在では小・中学校約300校全てにおいて、授業配信ができるようになっているんです。」

授業配信に向けて、着々と準備を進めてきたという、札幌市教育委員会ですが、一方でこのような考えでもあると教えてくれました。

「(家庭における)オンライン授業っていうと、授業配信だってみんな思いますよね。でも、オンライン授業は、授業配信だけじゃない。授業配信を大切にしつつも、それ以外の学習方法も大切なんです。」

ずっと画面を朝から見っぱなしも、子どもにとってはしんどいことですよね。同じ場所に座って授業を受け続けるというのは集中力が切れますし、健康面からも決して良いことではありません。

「授業配信、課題の配信、端末を活用しない個別学習の時間など、そういった様々な学びの要素をハイブリットで組み合わせることが、札幌市のGIGAスクールなんです。」と先生方にも伝えているんだそうです。

今後の展望について

「私から言えるとすれば、ICTの活用が学びに直結し、子どもがその学びのよさを実感できることが大切です。『先生、こんなことが分かったよ!こんなことができるようになったよ!』と、学びのよさを実感している子どもたちの姿を見ることができたら、それが教員にとっての喜びであり、実感になりますよね。」そう、伊達課長は頬を緩めました。

子どもにICTを活用させる、学ばせるとなると、「どううまく使えるようになるか、プログラミングができるようになるか」そう言った論点で話されることが多いかも知れません。

インターネットという世界には限りがないため、知りたいことがたくさんある子どもは、たくさん調べることができ、たくさんのことを吸収することができるというメリットがあります。一方で、限りも垣根もないため、常に危険とも隣り合わせだとも言えるデメリットもあります。メリットデメリット合わせて、しっかりと使い方や付き合い方を、小学校の時点から学んでいくというのは、この先のデジタル社会を生きていく子どもたちにとって、大きな礎になっていくでしょう。今後がとても楽しみですね。

入澤取材後記

今回、1年ぶりに訪問して定点観測でその進歩を見れたことがとても驚きでした。文中にもありますが、前回は、「さて、端末を配ることは決まった。果たしてどうやって行くか?」だったところですが、GIGAスクール通信に代表されるように、各学校が率先して取り組みをし、良い取り組みをシェアしながら底上げを図っていて、本当に素晴らしい取り組みだなと思いました。


「体験をシェアする」というのは、手間もかかるし、そう簡単に出来ることではないですが、先生たちも率先していろんな事例を送ってくれるそうです。掲載待ちな事例が結構あるとか。様々な産業のDXも、こうした「事例」がたくさんあると、それがヒントになりとてもいいですね。Mikketaでも、どんどん掘り起こしていきたいなと思っています。


取材の中で、負の側面の話もいろいろありました。チャット機能によるいじめ問題が顕在化した他都市の事例なんかがあったときに、「札幌市はどうなってるんだ?」との問い合わせもあったようです。札幌市は、チャット機能は使えなくなってるため、同様の問題は起こらないようになっているとのこと。また、アンケート結果では、スマホも含めインターネット環境がない家庭も全体の3%ほどあるそうです。そのため、コロナで学級閉鎖や出席ができないこどもたちに対し、Wifi端末などを貸し出すことも行っているとのこと。現場では、そうした負の側面にも、しっかり考え取り組みを行いながら、「子どもの学び」を底支えしてるんだなと思いました。


アプリ環境は、基本はGoogle Classroomを活用しており、それに加えて、NTTコミュニケーションズ社製「まなびポケット」やベネッセ社製の「ドリルパーク」などを導入されてるとのことです。そういった新しいアプリも導入され、また、来年にはさらに進化してるのではないかと期待もしていますが、デジタルはあくまで手段であり、デジタル技術で学びたい人がもっと学べて、学びが追い付かない人は、何度も復習ができて、子どもの学びが実現されることが、一番の目的だという事は、決して忘れてはいけないと思いました。

<告知>START DX SUMMITにサッポロチャレンジドさんが登壇されます!!

なにやら、仮想空間でDXのイベントが行われるようです!

そして、その中で開催されるセミナーに弊協会が
パソコン寄付をさせていただいた
札幌チャレンジドさんが登壇されるようです!!

https://www.gaia-link.net/startdx
登壇日時:12月3日15時〜15時30分

どのようなイベントになるのでしょうか!
楽しみですね!!

会長が行く!!「ラテラル・シンキング社」

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こんにちは!今回は新シリーズ!会長が行く!と題し、会長がまだお会いしたことが無い、北海道IT推進協会の会員企業の元を訪ねました!!

今回訪れたのは、ラテラル・シンキング株式会社さん。

曽我部社長にご挨拶をさせていただきました!

入澤:はじめまして、会長の入澤です!よろしくおねがいします!

曽我部:よろしくおねがいします!

入澤:まず、ラテラル・シンキングさんについてお伺いしたいのですが、創業は何年になられるのでしょうか?会社について教えて頂けますか?

曽我部:2012年の9月に創業した会社で、もうすぐ10年になります。ラテラルシンキングとは水平思考のことなのですが、よく「エンジニアは垂直思考だろう」って突っ込まれたりします(笑)。もともとの自分が働く上で大事にしていた考え方を英語にした、社名なんです。業務はWEBの基幹システムの開発が6割、3割がアプリ開発で、monacaというクロスプラットフォームのアプリ開発ができるツールのパートナーでもあるので、そちらを活用して開発を行っています。社員は現在85名います。(2021年9月現在)オフィスは名古屋と、福岡、東京、そして札幌という形で、本社は札幌になります。

https://ja.monaca.io/

入澤:すごいですね!全国に展開されているんですね!!

曽我部:ありがとうございます。お客様も道外が多く、道外拠点の人数も増えてきました。

入澤;人数はこれからも増やしていかれる予定なのですか?

曽我部:いえ。弊社採用がとても得意で、人数をここまで増やしてこれたのですが、今は一旦人数を増やすというのは止めて、ちゃんと会社としてのベースとなる力だったり、基礎力をあげていくフェーズなのかな。と思っています。なので、ルールを導入したり新しいものを入れたりして、社内を整えるという点に重点を置いています。

入澤:このご時世に採用が得意というのは、すごいですね!羨ましい企業さん、たくさんいると思います!!、ちなみに、曽我部さんのもともとのキャリアはエンジニアなのですか?

曽我部:もともとは営業出身です。最初は製造系派遣の営業をしていました。そのあとリクルートのIT系技術者派遣の会社に勤めて、縁あって今の形になったんです。

入澤:営業スタートなんですね!僕と一緒ですね!!!もうすぐ10年と先程おっしゃっていたかと思うのですが、これから会社をどう伸ばしていきたいなど、未来について考えていることはありますか?

曽我部:そうですね。実は自社サービスを作っていきたいという風に思ってはいるものの、どういったものを自社サービスにしたら良いんだろうっていうのが難しくて、穴にはまっている感じがあります。

技術者派遣じゃない形を作ろう!と思って考えはじめはしているのですが、中々難しいんですよね。一時、ホテル関係のDXを支援できないかと模索をしていた時期があったのですが、「これ、どこまでやり続けるんだ?」等と先のことを考えると、中々難しくて。

入澤:いや、難しいですよね。それこそDXを外から支援するというのは本当に難しいことだと思います。業務理解をした上で、デジタルに載せ替えて、改善をしてという動きが必要になるので、外部からの支援となると時間も、工数もかかりますよね。

曽我部:そうなんですよね。本当に難しいなと。なので、今後も現在の開発体制を続けながら、新しい事業を模索していきたいなと思っています。

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余談ですが、家も近くお子さんも同じ中学校の同学年であることが冒頭わかり、パパとして共通の話題で盛り上がっていました。

曽我部さんのお話の中でとても印象的だったのが、最初から道外展開を主に行っていたという点です。

「北海道で企業したからには、北海道の人たちのお役に立ちたいから北海道の案件をとるんだー!!」と、起業してすぐは思う方も多いと思います。(私もそうでした)ですが、自分の得意な地域や、得意な場所で仕事を作っていくという働き方があり、それで会社を大きくされている方がいるんだな。と、新しい案件の作り方を教えていただいた気がします。

リモートワークできる環境が進む昨今だからこそ、道内企業の道外への展開や営業もこれからより一層、加速していくのではないでしょうか。とても楽しみです。

会長がいくシリーズ!継続して行っていきたいと思っていますので、ぜひ「会長と対談したい!」という方がいらっしゃいましたら、編集部もしくは北海道IT推進協会事務局までご一報ください!

教えて!わかるヒト!行政デジタル化について(札幌市)

「デジタル庁」が2021年9月に発足し、より一層国や自治体のデジタル化が進むであろう昨今。地方自治体でも「Society 5.0」や「スマートシティ戦略」「デジタル推進」「自治体DX」など、ICT導入や推進に関わる様々な文言が、より一層飛び交うようになりました。

国は、地方自治体のデジタル化/DXについて令和2年12月25日、自治体DX推進計画概要を発表し、同計画の中で自治体DXの意義について大きく2点、ビジョンと重要なポイントを冒頭でまとめています。

・デジタル社会のビジョン「デジタルの活用により、一人ひとりのニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会~誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化~」 → 住民に身近な行政を担う自治体、とりわけ市区町村の役割は極めて重要。

・重要なポイント  ーデジタル技術やデータを活用して、住民の利便性を向上させる。  ーデジタル技術やAI等の活用により業務効率化を図り、人的資源を行政サービスの更なる向上に繋げていく。  ーデータが価値創造の源泉であることについて認識を共有。  ーデータの様式の統一化等を図りつつ、多様な 主体によるデータの円滑な流通を促進。

そして、同計画の中では下記のような、期日目標を定めているものも有りました。

・2025年度 自治体の情報システムの標準化・共通化 ・2022年度末 自治体の行政手続のオンライン化

国でのデジタル化促進や、自治体DXなどの波をうけ、各地方自治体にもデジタル関連部署の設立が昨年から今年にかけ増えて来ました。

ただ、いまいちよくわからない。いろんな資料を見て色んな情報を見ても、「スマートシティ」と、「DX」をどういう役割で進めていくのか、どういう進め方をするのか。同じようにも見えるし、違うようにも見える。(大混乱)

ということで、わからないなら、直接聞きに行けばいいじゃないか!!と、早速お伺いしたのは札幌市役所です。「こんにちはー!」と迎えてくださったのはスマートシティ推進部デジタル企画課の中本さんです。一つ一つ丁寧に、教えて下さったので、編集部以外のどなたかの役にたてば。というので、記事にする許可もいただいたので、みなさんにもどどーん!!!と大公開しちゃいます!!!

Q1:スマートシティとデジタル推進。何が違うんですか?

ースマートシティとDX、すごく似ているように思うのですがこれ、なぜ別立てになっているのでしょうか?何が違うのでしょうか?

中本:結論から言うと、札幌市は同じ部署が担当しています。令和2年度まではまちづくり政策局の中にICT戦略推進担当部という部署があり、そこでスマートシティ関連の施策を行っていました。令和3年度に先日取材していただいたデジタル推進担当局が新設されたことにより、スマートシティ推進部という新しい部ができ、この部署がスマートシティとDXの両方を担当しています。

札幌市ICT活用戦略という、いわゆる札幌市のデジタルの最高法規をスマートシティ推進部が所管しています。この中には行政のDXとスマートシティの観点両方が入っているんです。

札幌のITの歴史をさかのぼっていくと、最先端IT企業が集積し「サッポロバレー」と呼ばれる、勢いのある時代がありました。それが、いつのまにか、東京の下請けのような仕事が増え、一方で他の地方都市のITが大きく伸び始めた。秋元市長は「札幌にはITの底力があるはず。これから人口も減り高齢化も進む中で、ITの力でどう立ち向かっていくのかということにチャレンジしていく必要がある」ということで、この札幌市ICT活用戦略というのを平成29年に初めて作りました。

その中で、「これからのITで市民の方の生活を向上させると言ったら、何が重要?」と考えたときに、『データに着目しよう』という議論になったんです。データを使うことで、GAFAをはじめとしたプラットフォーマーがあれだけ成功するのであれば、データを適正に公共利用することで行政のサービスだったり、住民の住みやすさを向上させるような施策の高度化につながるんじゃないか。というところからデータを活用した取り組みという物を本施策の中でも大きく取り上げています。このデータ利活用の取組がスマートシティの取組へと発展してきたものと思います。

スマートシティとDXは呼び方を分けてはいるものの本質的には同じもので、あえて単純に切り分けるとすれば、今”お金などの条件が整えばすぐに取り掛かれること”はDX。スマートシティは”お金”だけじゃなくて、制度の見直しだったり、新しい技術開発だったり官民連携だったりが絡む、新しい挑戦が含まれるという風に思います。

ーなるほど。短期的なゴール=DX。長期的なゴール=スマートシティ。というイメージですね。一つの部署で、目先の目標と、中長期のものと両方追わなければ行けないのって大変じゃないですか???

中本:そうですね。沢山やりたいことはあるし、実現したら良いなということはあるけれども、それを実現するためのICTの土台ができていなければ到底実現は不可能なので、そういった意味でも同じ部署で、短期的なゴール、長期的なゴール両方を担当するというのは理にかなっているんだと思います。

Q2:Society5.0とスマートシティって、何が違うのでしょうか?

ーなるほど。。。そうなってくると不勉強でお恥ずかしいのですが、ますますわからなくなるのが、Society5.0とスマートシティって何が違うのでしょうか??(大混乱)

中本:ここは国も厳密に分けていないと思います。Society5.0に関しては、デジタルツインのイメージで、リアルでできていること(手続き含め)をサイバー空間上で再現することができれば、サイバー空間上で分析だったりサービスを想定することができるので、それを現実空間に反映し、これまでにない新しい世界が展開できる。

スマートシティやスーパーシティもデータ連携基盤というものが土台にあるんです。

都市OSって呼ばれるのですが、それが必ず街の中心に有るんですよね。

ーあぁぁぁ、都市OS。。。それもよくわからないやつです(号泣)

中本:都市OSもまだ、完成品って世の中に無いと思っています。札幌市でいくと、データ利活用の取り組みを始めた時に「ICT活用プラットフォーム」という物を作ってるんです。それは、官民のデータを集積するプラットフォームになっていて、単にデータが入っているだけじゃなくて機械がデータを使いやすいように、データを加工して入れていく、自動で連携するなどを目指したものなんですよね。これを拡張した“概念”が、徐々に呼ばれ方が変わっていって最近は都市OSって呼ばれたり、データ連携基盤って呼ばれたりしてるのだと思っています。

ーひぇーーー。そんなにころころ名前が変わっていたら、 議会説明もですし、資料作成もものすごく大変そうですね。。。  「この間まで、別の物の話してただろ!!なに?一緒なのか?」とかなりそうです。

参照:https://www8.cao.go.jp/cstp/stmain/a-whitepaper3_200331.pdf

参照:https://www.nri-digital.jp/tech/20210224-1605/

中本:今は、わかっている人だけで進めているという側面もあると思うので、やはり市民の方々にきちんとわかる形で伝えていくっていうのは考えていかなきゃいけないことだと思っています。

ーそうですね。。。中々ハードルは高そうですが、必要性含め市民の皆さんに理解していただくためにも、もう少しわかりやすくなると良いかもしれないですね。

中本:なので、私たちも2020年の札幌市ICT活用戦略の改定の時にイメージを掲載しました。身近なところでいうと除排雪って、春になれば“溶けて無くなるもの”に年間200億かけている世界です。少しでも効率化するあるいは市民満足度を高くすることが、データを使ってできるのであれば、挑戦しない手はない。例えばどこの道で渋滞が起きてるとか、路面が滑るよとか、気象データでこれぐらい雪が降りそうだとか雪雲の進路がどうなっているっていうデータを全部集約して一元化して把握することができれば、今すぐ対応すべきところの雪を取りに行くという除雪の仕方が可能になるかもしれない。今は、そういったものが可視化されていないので、「雪が○センチ降ったら、全市一斉に除雪車出動!」というやり方にならざるを得ません。様々なデータを官民の垣根を超えて扱えるようになれば、もっと人の活動を最適化できるんじゃないかって思うんですよね。こういったことを官民連携でやっていっても良いんじゃないかと。

便利な街づくりという意味では、生体認証みたいなところもICTの戦略の実例で触れましたけど、予め本人同意を頂いてデータを連携基盤で使わせていただければ、公共交通機関なんかも顔パスで乗れたりとか、賛否はあるとは思いますけど。官民のいろんなサービスを手続きなしでシームレスに使うことができるんじゃないかっていう発想だったり、データを連携して活用することができれば、市民生活がより便利になりますよー。っていう、身近に置き換えると少しイメージしやすくなりますか?

あー。なるほど。都市の運営に必要なデータ=気象情報だったり、顔写真だったり、データとして扱えるものを共通基盤上に載せることで、加工しやすくなったり、利用しやすくなり、市民サービスでデジタル化が進んでより便利になっていく訳ですね。それが都市のオペレーティング・システムという訳なんですね。そもそも、それがないとパソコンのOSと同じで、上に仕組みとして乗っかるはずのスマートシティもスーパーシティも、データの利活用を前提としているので、目指す街づくりは実現しませんよ。という話になりますもんね。

中本:そうですね。個人が特定される情報というのは、今回改正された個人情報保護法でも当然に保護されるものですから、あくまで本人同意を前提に、データを活用することができれば、市民生活がより便利になって行くと思います。これをやっていくためには当然市民の方の理解も必要ですし、技術の問題もありますし、制度の問題、色々な問題、官民と連携しないとどこかの主体だけがやったって意味がなくて、みんなでデータを使える状態を目指していかなければいけないですよね。一つとったデータが他のサービスでも使える状態っていうのを目指して行くのが都市OSの本質だと思います。

Q3:札幌市のデジタル化、課題になりそうなのはどういった点でしょうか?

ーICT関連が中々得意ではない、活用が難しいという市民の方々が一定層いるのも事実だと思うのですが、苦手な方々に合わせていると、ICT活用は中々前に進まない。でも、得意な方々に進度を合わせていると、多くの市民を置き去りにしてしまう可能性もあると思います。札幌市としてはどういう方針で、進めていくのでしょうか?

中本:(DXやスマートシティ関連は)ゴールが中々見えないですよね。なので、先進的なメンバーが中心となって、何ができるのかというのを少しでも見せていく必要があると思うんですよ。ちょっとした成功事例だったりプロトタイプだったり、(デジタル化が進むと)こういうことが実現しますよ。ということを、一般の方々にもお見せして興味を持っていただくというのがまず、必要なことかと思います。「こういう物を使えるようにするためには、データの利活用というのが必要となってくるので、そこをご理解いただけるでしょうか?」というのを、丁寧に説明して、市民の理解と同意を得ていくというのは、行政として必要な役割だろうと思います。

ー。。。とにかく大変ですよね。庁内のデータをだしてくださーい!っていうまず、市役所内でのデータ関連でのやり取りを乗り越えた先に、プロダクトをやっと作れるようになり、その先に市民の方々の理解が必要でって、、、ものすごく長い道のりですね。時間がすごく掛かりそうです。

中本:庁内の中で行くと、情報を開示することに対する抵抗感だとか、何に使われるのかわからない得体の知れなさから来る警戒感みたいなものもあります。加えて、今のデジタル化って、力業によるなんちゃってデジタル化のような側面もあって、結局こういうところにデータをアップするのも誰かが手作業でやっているっていう「中のヒト」が居るような状態でやってるんですよね。これでは手間がかかり過ぎて、取組が進みません。

例えば国が言っている行政手続きのオンライン化を例にとっても、今は住民の方はインターネット上で手続きをしたとしても、役所側はCSVとかでデータを受け取った後、それを紙に印刷して、管轄の区役所に送ったりして、普段の事務処理に乗せる。結局、紙でやるより手間が増えちゃってるんですよね。それがまだまだこの分野でもあるので。。。

余談ですが、札幌市(役所)は、パソコンは基本的に有線で接続されています。パソコンを持ち歩いて打ち合わせということもできないですし、テレビ会議をするのも別途テレビ会議用の端末が必要になる状況なのです。これはセキュリティを厳重に担保するために閉域網で仕事をしているからなのですが、“デジタルでできること”を当たり前にできるようにするために、クリアしなければならない課題はたくさんあります。

会議室に設置されていた、イントラLANの差込口

ーそうなると、資料は紙に印刷したものを持ち運ぶようになりますし、紙で保管するものも増えますよね?、ICT化を推進させるはずだったイントラが業務のデジタル化を阻害しているような気がしてしますのですが・・・。

ICTのセキュリティ面ということを考えた時に、住民の方の大事な情報をインターネットと接続できる環境に置くことはできない一方、そのままでは市民の方のオンライン申請も我々の働き方も利便性が向上しない。なので、ここをどう考えていくのかっていうのは大きな問題だと思います。

まさにスマートシティにしても行政機関が多くのデータを持っているので、自治体のデータをある程度人手を介さずに、出しましょうと言われていたりしますよね。データにリアルタイム性がないとデータそのものの価値って無くなったりするので。この場合、みなさんが普段使っているインターネット環境と、行政が住民の方の情報を扱っている独自環境とをどこかでつないでいく必要はありますよね。そうなると、双方のつなぎ目のセキュリティをかなり厳格にしてやらなきゃいけないっていうのもありますよね。ここは大きな議論になっていくと思います。行政の信頼を揺るがすわけには絶対いかないので。

ーここでより便利にするためにはクラウド化だ!ってなるのか、いやいやオンプレじゃないとセキュリティは守れないので独自性を担保し続けます!ってするのか大きな分かれ目になりそうですね

そうですね。でも、ここはやっていかないと便利な世の中にはなっていかないので安全を確保しながら利便性を確保していくということは、絶対やっていくことになると思います。また、生産年齢人口の減少で行政もコンパクト化していかなければ行けないという中で、なるべく入口から出口までデジタルでつなぐことで「中のヒト」が居ない状態を作っていく、これもセットだと思っています。


編集後記

いろいろとデジタル化の勉強をしたり、多く取材をさせていただいたりしていると、行政のデジタル化に関して、「もう技術は存在するんだからやっちゃえばいいじゃん!!」って、思うことも正直何度もありました。でも、今回わからないことを徹底的に質問させていただき、お答え頂いたことで、「いやいや一筋縄じゃいかんのだよ」ということも、すごくよくわかりました。

行政がデジタル化を進めていくためには、住民の理解と同意、そして庁内の理解と協力と体制の変化。システムやサービスを作る事業者との調整や、実現性の担保。いろんな壁を乗り越えて行かなければいけなく、改めて「大変だーーーー」と実感しました。

少しでもこの記事が、行政のデジタル化よくわからないぞー。 と感じているかたのお役に立てたら幸いです。

取材・文・写真:新岡 唯

「北海道Society5.0」の実現に向けた道の取組について行政機関とHICTAとの情報交換会が開催されました。<オンライン>

2021年8月18日、北海道IT推進協会の理事会に合わせて、「北海道Society5.0」の実現に向けた道の取組について ~IT業界に期待すること~という題で、北海道総合政策部次世代社会戦略局 DX推進課長  榎様にご登壇いただき、協会員を交えて情報交換会をオンラインで開催しました。

冒頭、榎課長よりコロナ禍で取り組みが加速したものとして、医療や働き方、教育、行政などを例にあげられ、特に働き方においては「紙を前提とした働き方の見直しがDXという観点で大きく進んだ」と話しました。
また、教育の観点においては、「GIGAスクールの開始に伴い端末の配布など進みはしたが、コンテンツの有効活用や、端末の管理などには課題が残る」と説明がありました。

次に北海道Society5.0について「2030年頃の北海道を見据え、デジタル技術を活用した活力にあふれる北海道を目指す」とし、今年3月に策定された北海道Society5.0推進計画の説明が有りました。

最後に、IT事業者の方々に期待することとして4点あげられ、中でも特にデジタル人材の育成と、官民データ利活用事例の創出、データ活用の提案に関して、産学官での連携、そして道や市町村でのオープンデータの取り組みについて、利活用の方策などを模索していきたいとまとめられ、北海道Society5.0の実現に北海道IT推進協会の会員企業の力添えが不可欠であり、協力をお願いしたいと力を込めて述べられていました。

参加者からは、「IoTデータを通じた地域課題解決に関して、こんなに多くやっているんだと初めて知って驚いた」との声が上がり、「事例に関する情報発信などを協会でも連携していきたい」という声やオープンデータの利活用について、「どのように意見を伝えたら良いのか」などの質問や意見が上がりました。

最後に、IT事業者の方々に期待することとして四点あげられ、特にデジタル人材の育成と、官民データ利活用事例の創出、データ活用の提案に関して、力添えをお願いしたいとの話がありました。

デジタル人材の育成・確保に向けて、産学官での連携、そしてどうや市町村でのオープンデータの取り組みについて、利活用の方策などを模索していきたいとまとめられ、北海道Society5.0の実現に北海道IT推進協会の会員企業の力添えが不可欠であり、協力をお願いしたいと力を込めて述べられていました。

参加者からは、「IoTデータを通じた地域課題解決に関して、こんなに多くやっているんだと初めて知って驚いた」との声が上がり、「事例に関して情報発信をどんどんやって行くとよいのではないか。」という声やオープンデータの利活用について、「どのように意見を伝えたら良いのか」などの質問や意見が上がりました。

編集:北海道IT推進協会 広報委員会

北海道の食のDX拠点「北海道みらいキッチンGOKAN」で食の提案の未来を感じてきた!

今回、取材にお伺いしたのは「アイビック食品」さん。

アイビック食品さんは、ドレッシングやたれを作っている企業です。

札幌の中華の名店「布袋」さんはみなさん一度は耳にしたことがあったり、好きな方も多いのではないでしょうか!ただ、コロナ禍で外食を控える人が増え、飲食店の売り上げが下がる中、「布袋のザンギカレー炒飯の素」というのを、布袋さんとアイビック食品で作り販売しています。

先日、アイビック食品さんからこんなニュースが飛び込んできました!

「『北海道みらいキッチンGOKAN』オープンのお知らせ」
この度弊社では「北海道の食のDX拠点」をテーマに食に関わる全ての人・企業・地域のHUBとなる施設を目指して『北海道みらいキッチンGOKAN』を9月1日にオープンいたしました。

GOKANは「味覚、聴覚、嗅覚、視覚、触覚」の五感を刺激する、様々な食の提案が出来る施設となっています。試食会などのプレゼンテーションや料理教室にも活用できるセントラルキッチン、料理番組のような動画撮影・ライブ配信にも対応できる最新家電が揃ったオープンキッチンをはじめ、商品や料理のスチール撮影ができるスタジオもございます。

デジタルサイネージ(流通のMRが可能)、お部屋マッパーシステム(道内初)、VR(仮想現実)/AR(拡張現実)、照明調色システム(道内初)、配膳ロボット、香り発生装置、高性能スピーカーシステムなど五感を刺激する様々な仕掛けをご用意しています」

・・・・。

楽しそうすぎるじゃないか!!!!!!!

というので、早速訪問しお話を伺ってきました!

案内をしていただき、ドアを開けた先には
どーんと、GOKANの文字が!

そして、コーヒーはロボットのServiが運んで届けてくれました!

すごくきれいに、何にもぶつからず運んできてくれて、
元いた場所にスムーズに戻る様子に、「すごい!」と思わず口から出てしまうServi

とにかくすごいこの空間ですが、なぜ作ろうと思ったのでしょうか?

アイビック食品株式会社、代表取締役の牧野克彦さん、
常務取締役 経理部長 木村 知子さん、
DX推進課 課長の藤原宏之さんにお話を伺いました。

アイビック食品 代表取締役 牧野様

「私たちアイビック食品は、タレや、だしのOEM会社なんです。この会社の成り立ちのところからの話になるのですが、もともとは来年丁度創業100年を迎える、大正11年創業の株式会社アイビックという釣具の卸売業者が母体の会社なんです。

釣りというのは、御存知の通り趣味の領域の物になります。ゴルフや釣りといったような「趣味」のものに対する消費は、「衣食住」という生活に必須である消費の次に消費されるようなものですよね。そうなると、業績が景気にものすごく大きく左右されてしまう訳です。

先代は、趣味嗜好品の事業ではなくもう一つ事業の柱として、趣味の領域の事業ではなく、衣食住の仕事をやりたい。という思いをずっと持っていたんですよね。

そういった中で、縁あり食品事業を廃業しようとしていた方とのお話が進み、丁度25年前に株式会社アイビックの中で、食品事業部としてスタートしたのが、この会社の始まりだったんです。

現在では、液体調味料のOEMメーカーとして、和洋中何でもやります!!っていう企業では有るのですが、もう一歩先の中に具材の入ったものを作りたいよね。というので、惣菜メーカーを買って、現在は具材入りの物(レトルトのカレー等)も作れるようになりました。

販売や売上自体も、ものすごく順調に推移していたのですが、私たちの主なお客さんは観光地や空港、どさんこプラザのような観光+外食なんです。その結果、今回の新型コロナウィルスの影響を思い切り受けたんです。かなりこれはやばい、どんどん売上が落ちているぞ。という状態になって、何か違うことをやらなきゃいかん。という話になってネット販売やるかとか、越境ECやるかとかいろんな話が出たんです。

でも、社内から「外食さんにお世話になってきたんだし、外食さんが景気悪いから、外食産業にさよならして、違う販路をっていうんじゃなくて、徹底的に外食産業を応援しません?」って話が出てきたんです。

それで去年、外食さんの商品を、研究開発費無料で、今まであった縛りも全部なくしてやります!!って言って、とにかく製品つくりませんか?って、話をして歩いたんですよね。そしたらありがたいことにすごく好評で「製品を作るだけじゃなくて、売ってもくれて、いろんな写真撮りから外販までたくさんフォローしてくれて。物を作るのはすごく難しいと思っていたけど、アイビックさんで世話になって色々サポートしてもらってありがたい。」っていう声がすごく増えてきたんですよね。

丁度そのころに、GOKANの起案が出てきて「(観光が落ち込んで)売れないんだったら、売れるまでウチが持っていく所まで完全バックアップしよう」と。そんな流れで作った場所なんです。」と牧野社長。

北海道の食に関わる人達の交流拠点を目指して

GOKANの館内には、たくさんのタレやドレッシング、レトルトカレーなどのパッケージが並び、話を伺っている場所の前にはどーん!と大きなディスプレイが。

このディスプレイ。すごくおしゃれで近未来的な映像が流れるディスプレイだなー。と、取材中もちらちらと眺めていたのですが、なんとこのディスプレイ。

いろんな使い方ができるそうです。

1つ目は、マーケットリサーチ用の使い方です。

このような形で、売り場の写真をディスプレイに映すことで、開発しようとしている商品が、売り場で目立つのか、消費者に選んでもらえるパッケージになっているのかを、売り場に行かずとも確認をすることが出来ます。北海道には無い小売店での拡販や、海外店舗での販売をしたいときは今まで現地に行って見るしかなかったものを、デジタルの力で移動なく確認することができるようになっていました。これぞまさにDXという感じです!

2つ目は、画面ミラーリングによるライブ映像の投影です。

手元において撮影するのはもちろん、天井についているスマートフォンを固定する器具で固定をすると、今流行りな上から撮影した料理動画を撮ることも可能です!

また、奥にはGOKAN STUDIOという名の、撮影スタジオも用意されていました!
牧野社長が、カラカラと押してきた物を見ると、色とりどりのエプロンが!

「ライブ配信や動画撮影の時に、いつも同じエプロンじゃなぁ。と思ったりすると思う。ぜひこのエプロンの中から選んで使って欲しい」と、配信者の気持ちを汲んだ温かい心配りまで・・・。

余談:お手洗いのライトは女優ライト付き!!身だしなみを整えるのに、とてもテンションがあがる空間でした!(なんとバスルーム付きでした。)

しっかりと料理を作れて、そして配信、撮影までできるスタジオが札幌にはまだまだ少ないことから、こういったものがあったら取引先の役に立つのでは無いか。という発想から、細部にまでこだわって作られています。

配信ができるように作られているG型のセンターキッチン

本格的な調理ができる、I型のキッチン

(もやしや、野菜炒めなど、食品の匂いを体感できるスペース)

「完成以降、多くの方の見学や利用申し込みが入っていて、とてもありがたいです。北海道の食に関わる人達が交流出来たり、集まれるような場所になっていければ」と牧野社長は言います。

ここから新たな商品や、コラボレーションが生まれていくと思うと
とても楽しみになる空間でした!

ぜひ、食に関わる皆さんはご活用されてみてはいかがでしょうか!

<アイビック食品さん作成のコンベンションムービー>


入澤取材後記

まず驚いたのは、着席すると、コーヒーをロボットが運んできてくれたことです。実はロボット配膳の仕組みは前から気にはなってたのですが生で見たのは初めてでした。最初から「この場所はなんか違うぞ」と感じさせてくれました。



大きなサイネージで売り場をデジタルで再現し、パッケージの見栄えや色合いを同じ寸法で表現するというのが、この中で一番驚きました。本当はリアルに棚を作り、商品を置いて、売り場を再現しようと思ったらしいのですが、スペースの問題もありますし、またお客様が海外でも販売することを考慮し、海外のスーパーマーケットの陳列棚を現地の人に写真撮って送ってもらい、その中で、パッケージがどう見えるか?なんかもシュミレーションしてるそうです。画期的でしたね。これも一つのデジタルツインといえるでしょう!



今回のアイビック食品のDXの取組は、自分たちのDXというよりは、「お客様のDXをこの場で支援する」という意気込みが感じられました。これは今までの取材ではなかったアプローチです。お客様がデジタル活用で売上が上がってくれれば、その分OEM提供元である同社の売上が上がるというわけです。普通であればこのコロナ禍において、別の販路を模索してしまいそうですが、徹底的に飲食店やメーカーさんのサポートをし、販路の拡大を支援することが、同社にとって最善の経営判断であり、さらにはこのGOKANという場所を作り、DX支援もやっていくんだという姿勢には、IT企業ではできない食品業界DXの旗手として、北海道の食文化をデジタルで引っ張っていくんだ!という強い決意を感じ取ることができました。本当に素晴らしいです。心より敬意を表したいと思います。



今後はお客様の製品をこのGOKANで撮影し、外販のためのECサイト作りや、Youtube番組での配信、ネットテレビショッピングといった、デジタルマーケティングの強化のお手伝いや、、モバイルオーダーや、ロボット配膳などを体感してもらい、自分たちの店舗にも導入を促してDXを支援していこうというショールーム的な役割を担っていくでしょう。まさに、北海道の食のDX拠点となると思います。



コロナ禍により不況に嘆く飲食店や食品メーカーの皆さんが、この場所に来て、何かを感じ、デジタル技術で何か変革の糸口をつかんでくれると、食品業界のDXは進んでいくのではないでしょうか。このGOKANが、北海道の食文化のDX拠点として、全国に、世界に、北海道の食文化のすばらしさを発信してくれることを期待しています。


いった歯科のデジタル化から見る、歯科業界のデジタル化

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こんにちは!
今回は歯医者さんのDXについて、新札幌いった歯科を運営する
医療法人社団 一心会の理事長 青木さんにお話を伺ってきました!

デジタル化の始まりと見えた成果

青木理事長(以下、青木):私達が創業したのは、2009年4月のことです。居抜き物件を200万で買って始めた歯科医院だったんです。当時は私とスタッフ3人、年中無休で365日、休みなく診療をしていました。ものにお金をかけるよりも、教育と採用にお金をかけて、仲間を集め、100年続く医院つくりのビジョンを診療開始当初から持っていました。

つい先日、東区に2院新しく開業をし、グループは6院+東京に提携1院、本部、提携ラボ1社まで成長し、そして従業員は110名の規模まで組織を拡大することが出来ました。

うちの事業成長において本部の存在は大きいと思います。ほとんど歯科医院を見ても、院長先生が診療しながら経営と教育を行う体制になっていますよね。それも一つの正解だと思いますが、今後の時代、スピード感や多様性のある組織を求められる中で、私ひとりではチャレンジしたい事や永続性のある組織を作れないと感じていました。
私はこの本部機能を含めて、100人組織を作る事で、歯科医療において大切な「臨床、学術、教育」の3本の柱を構築できると考えました。同時に、この3本の柱がすべて揃っている事で、100年続く医療組織(永続性のある組織)を目指す事も出来きました。

完全手作りの各種業務マニュアル

私達は、開業当時から「教育」に力を入れて運営してきました。また自社で数百ページの業務マニュアルを整備している事も社内に本気度を現すために毎年作成し、配布しています。
教育の概念としては、自分自身の教育(勉強)、社内チームへの教育、患者さんのデンタルIQを高める教育(啓蒙)があり、それぞれに力を入れています。
それにより患者さんが増え、本来広告費等に使う費用が教育により減少し、その分従業員や医療設備に還元し、更には学術や臨床技術の向上に費用を使うことができています。2009年の開業依頼、リーマンショックや2つの震災。そしてコロナウイルスによるパンデミックなど、開業以来いろんなことが有りました。その中で業績を落とすことなくここまで来ることができたのも、教育に力を入れてきたからだと思っています。

ー入澤:なるほど。今回デジタル化を進めようと思ったのはどういう背景があったのでしょうか?

青木:歯科のデジタル化を進めるにあたり、まずは歯科技工と歯科医院の周辺コンテンツにフォーカスして取り組んでみました。
理由は2つあり、一つは歯科技工士という職業の働き方の改善と、地位改善です。

歯科技工士は国家資格なんです。現在日本には約12万人いると言われているんです。ですが、実際に仕事をしているのは3万数千人と言われています。そして半数以上が50歳以上の方々なのです。
高齢化が進んでおり、更には女性の割合は約2割程度と非常に少ないです。ただこの割合というのが、ここ10年ぐらい全く変わっていないんですよね。この課題をどうにかしたいというのが一つ。

2つ目は、現場の人間が本来やらなければいけないことに集中できるようにする。という点です。受付の仕事においては、医者や歯科衛生士が診療中に確認しきれなかったことや、その場では話せなかったことなどを、患者さんの表情や様子を見ながら、聞いたり話をするというのも大事な仕事の一つなんです。ただ、お会計をすることだけが彼女達の仕事では無いんですよね。

自動釣銭機の導入や、レセコン、ネット予約システムなどの導入等で彼女たちにしか出来ない重要な業務の時間をより増やせるようにしているんです。

医療法人社団 一心会 青木理事長

ー入澤:デジタル化の促進によって、変化は有りましたか?

青木:ものすごくあったと思います。1点目の歯科技工士の働き方については、土日祝日休みに出来たという点。そして、歯科医院の従業員の中で一番早く帰れるようになったというのも大きな成果ですね。
2点目に関しては、歯科医院の営業時間を短くしたのですが、それでも営業利益が上がっている実績は、ルーティーン作業をデジタル化したことによる大きな良い変化です。

ゆくゆくは、歯科医院自体も18時に診療を終えられるようにして、それでも業績が下がらず、明るいうちに帰宅し、家族でご飯を食べられる!という状態を作っていきたいですね。

スピードと使いやすさを第一に

ー入澤:ありがとうございます。ここからは具体的にどういった物を導入されたかお伺いしても良いでしょうか?

青木:そうですね。診断の際に必要なレントゲン撮影は、CTを完備してフルデジタル化にしました。また診察席一席一席にiMacを設置し、患者さんのお口の状態を見える化させ、説明も視覚化させる事で分かりやすくなりました。


CTスキャンをした画像の読み込み装置

スキャンしたCT画像やレントゲン写真も、以前はアナログで現像液を使用していましたが、今はLANで繋がっているモニターに、ワンクリックでiMacに転送し、画像として取り込むことができるようになっています。

治療の合間合間に、スタッフさんがPCで作業をしている様子が非常に印象的だった。

もう一つのツールはレセプトコンピューターと予約システムについて説明します。PCで随時、待っている患者さんの情報を確認できるように、PCは4台置いてあります。それ以外にもiPadも置いてあり、それぞれが使いやすい物を使いたい場所で使えるようにもしてあります。

ー入澤:システムはご自身で作られたのですか?

青木:いえいえ。世の中には歯科医院向けのSaaSは沢山有ります。0から自分たちで開発するのではなく、今ある既存の物を使ったほうが圧倒的に早くそして、コストも掛かりません。ですので、世の中に有る既存のシステムを比較検討し導入しています。

技工士が使用するデジタル機器も同様で国内外のメーカーを組み合わせて活用しています。

CAD/CAMなどの機器をを活用して作業量を何倍にも増やすことが出来ています。今までは、一つ一つ手でいちから作る必要があったため、とても時間も労力もかかり、いろんな作業を同時に行うということはなかなか出来ませんでした。ただ、今回このよう機器が導入された事によって、機械が切削や焼成している間に、別の作業に従事することができるようになり、作業効率がものすごく上がりました。ちなみにこれらの機器はAI搭載しており、最適な歯の形態を提案したりしてくれるので再現性が高く、精度の高い技工物(被せ物の歯など)が提供出来るようになりました。

また、一度入れたシステムをそのまま使い続ければよいかというと、全くそうではなく。今の自分たちに事業の規模や方向性に合っているか、既存の業務内容の改善につなげることができるシステムなのかという点もとても大事な点です。診療予約はWEB予約を主に活用しているのですが、その予約システムも経営分析ができる別のものに変更しました。診察券も今後はすべてアプリに移行し、ペーパーレスにしていきます。

予約サイト画面(https://apotool.jp/)

今後の展望について

ー入澤:いやー。すごいですね。今後はどのようにされていきたいなど展望はありますか?

青木:ありがとうございます。今後の展望と言うか課題は大きく3つです。

1つ目は採用です。採用の部分はどうしてもアナログになってしまうんです。
様々な媒体を試しはしたけれども、なかなかうまくフィットせず。デジタルへの移行が難しい状況です。コロナ前にはりますが、焼肉食べながら求職者を口説いていました(笑。この部分はマッチングサイトやキュレーションサイトの構築を行い、改善したいですね。


2つ目は、歯科と技工業界のプラットフォーム化です。全国の歯科医院と技工所をネットワーク構築させて、歯科のプラットフォームを作ってみたいです。ダイナミックプライシングで技工物の料金や納期が変動し、隙間時間と人材の効率活用です。これが出来たら、うちの歯科グループだけではなく業界全体がハッピーになるのではないかと思っています。

最後は、教育です。現状行っている教育の部分を今以上にE-Lerningで補い、マニュアルも電子化させます。またVRやARで治療のトレーニングをすることができたらいいなとも思っています。

現状は、診療時間内で教育を行っています。教える側と教わる側の診療時間が減っているのも事実です。だからこそ、貴重な教育の時間を、より効率化して、技術や知識を習得しやすくなる環境を作っていきたいです。

ー入澤:ありがとうございました。


入澤取材後記

歯医者さんにあまり行くことがない自分ですが、ここまでデジタル化が進んでるのかと驚きました。デジタル化を通じて、働き方を進化させてる取り組みを垣間見えました。


一つ目は、予約受付や会計業務などの事務作業は、徹底的にデジタル化し、本来社員がやらなくても機械に任せておけることは、全部機械にやってもらうという事。そして本来人間がやるべき仕事にフォーカスしてもらうという点。


二つ目に、これまで歯形を取り、その歯形の石膏を作り、それを手作業で削りながら差し歯などを作っていた作業を、口腔スキャナで口の中をデジタルで3次元化し、それをCAD/CAMで制作するという取り組みによって、格段に作業の効率化が図られ、技工士さんでも定時で帰れるようになったという点。


3つ目に10年ちょっとで6院までグループで立ち上げた秘訣である教育システムがある事。細かい作業一つ一つをマニュアル化し、それが冊子になり社員さんに配って見てもらってる。今は冊子だが、今後デジタル化をしていって、動画やVRなどで、教育コンテンツも充実させていきたいと話していました。


単に、1つの医院のDXというわけではなく、歯科業界全体を変えてしまおうという、IX(インダスリアル・トランスフォーメーション)も見据えており、さらに医院を増やしていきたいと意気込んでいます。医療法人一心会さんの取り組みに、今後も注目していて行きたいと思います。