鈴木商会が進めるデジタル化

今日は札幌駅前に本社を構える、鈴木商会さんでデジタル化を推進させるための取り組みを取材しに来ました。IT子会社「EZOTEC」も1年半前に設立され、その取り組みのお話を聞きに行ってきました!!

―入澤:本日はありがとうございます。まず、鈴木商会さんの事業について教えてください。

鈴木商会 代表取締役社長 駒谷さん

駒谷社長:昭和27年に創業。日本製鋼所に原料となる鉄スクラップを納入する商社として創業しました。北海道全域から、鉄スクラップを持ってきて貰いそれを納めるというところから始まった会社なんです。

その後、札幌近郊にも鉄スクラップを使うメーカーが増えたこともあり、札幌に本社を移転しました。移転後はさまざまな設備を導入し、多様な物を扱えるようになりました。例えば破砕機(はさいき)を導入することで、産廃物の回収を始めたり、廃家電・廃自動車なども扱いはじめたりしました。昨今、みなさんがご存知の通り環境問題が叫ばれるようになってきましたよね。当社は国から家電リサイクル法に基づく処理業者として認定されており、家電四品目の処理に関して委託を受けて運営しています。

―入澤:今回、デジタル化を促進するにあたりきっかけとなった出来事はあったのでしょうか?

私たちの業界自体、IT化が全く進んでいないんです。各社がそれぞれ個別で取り組んでいる状況で、業界向けにシステム開発やソフトウェア開発をしているシステム会社が無いんですよね。建設機械・農業機械関連のIT化は進むのに、我々の業界は待っているだけだと絶対に進まないんです。なので自分たちの手でやるしかないと思ったのが始めたきっかけです。そして、せっかくシステムを作るのであれば同業他社に使っていただけるのではないか。という観点からEZOTECという会社を設立しました。

―入澤:なるほど。デジタル化をすることで解決できる業界内での課題というのはあるのでしょうか?

そうですね。やはり一番は人材不足の面でしょうか。

今後、現場で働きたい人の数というのは減ってくると思っています。

みなさんご存知のように、今後労働人口も減ってきますよね。私たちは札幌だけではなく、その他の地域にも事業所があるのですが、採用の時に「重機の資格を持っている人を取ります!」ってアピールしたとしても、応募が来ないんですよね。人口がすくなければ少ないほど、応募比率が下がるという状態なんです。そこで今後、弊社が「重機の遠隔操作」というのを開発できれば、採用できる人材というのも変わってきますよね。今まで採用をしてきたような、「力仕事したいです!」という人だけでは無くても、採用ができると思います。

経営という観点から見ても、札幌近郊の工業地帯じゃなく地方に構えたほうが土地代も安いですよね。地方都市でも安定して事業を行い続けられることで、良いことがあると思います。

株式会社EZOTEC 代表取締役 谷藤さん

―入澤:EZOTECの代表取締役となられた谷藤さんは、どのような経緯でご入社されたのでしょうか?

元々は別の会社で、情報システム部門の責任者をしていました。全国にグループ会社を多く持つ企業の地域子会社ではあったのですが、システムを内製化をしている唯一の子会社でした。しかしながら本社の経営方針の転換で、情報システム部門は本部に集約という形になってしまい、私は同社を退社し個人事業主として起業をしようと起業準備をしていました。たまたま、部下が転職活動をしている中で「鈴木商会」の情報システム部の求人票を持っていて、広報課長の渡邉さんと外部のワークショップでたまたまご一緒したこともあり、会社のことは知っていたので、「いいんじゃない?」なんておすすめしていたんです。ただ、そうこうしている間に「社長やりませんか?」とお声がけいただいて、今に至るという状態なんです。現状鈴木商会の情報システム部門には、前職のメンバーが3人いるんですよね。みんなで移動してきた。みたいなイメージです。

―入澤:すごいですね。情報システムを強化していくとなった時って、みなさん「一人目」の採用に苦労されることが多い中で、今回のような出会いがあるかないかで(進むスピードが)全然違いますよね。EZOTECさんは今後どのようなことに取り組んでいかれる予定なのでしょうか?

谷藤:今後の方向性としては、鈴木商会内のDXを最優先でやっていく予定です。鈴木商会内でのDXで得た課題は他の会社にもある課題だと思うんです。普遍的な物を見つけて、全国的に展開して行きたいと考えています。

駒谷:そうですね。今までは「作って、売って、廃棄して終わり」という時代でしたが、資源を再利用しやすいように「作って、販売して、元の素材に戻す」という仕組みに、我々の業界含め製造業も変わっていくと思います。そうなったときに、システムで詳細を追っていかないと、どこでどういう風になったとか、個別の原料がわからなくなってきますよね。実際、その点がわからないが故に、トラブルも起きていたりするんです。そういう事をなくす為にも、「追えるシステム」と言うのが強いなと感じています。我々のようなリサイクル業界だけではなく、製造業にもこのシステムを使いませんか?という提案ができる。そういうところを目指していきたいですね。

鈴木商会、石狩事業所

あとは、破砕機をインテリジェント化したり、破砕だけ自動で行うというのは、リサイクル業界では進んでいませんが、製造業など他業界では物理的に出来ているはずなんです。例えば、アルミを溶かすという工程一つとっても、24時間体制で溶かし続けているところもありますよね。現状、「溶かす」という作業に関しては、人が必ずついていなければいけなくて、監視する必要があるのですが、不純物の混入含めAI化などで選別をしたり、アラートを出したりするなど、システムを導入することで、色々とできる余地はありそうですよね。

アルミ溶解の様子

―入澤:なるほど。社長はどうしてそこまでITが大事だと思うのでしょうか?

駒谷:今の世の中の流れですよね。今となってはあらゆる企業で、パソコンを当たり前に使っていると思います。

IT化も同様で今のうちに取り組むことで、10年後に当たり前に使えたり関われるようにしておきたいんです。新しいものに変わる・変えるっていうのは非常に負担がかかることですよね。実際に社員からの不満も出ています。「使いづらい。前の方がよかった」って。でも、それに関しても後から経験するのであれば、早めにやっておいた方がいいと思うんですよね。

―入澤:なるほど。最後に、地元のIT企業に期待することってありますか?

駒谷:社内のデジタル化を進めていくと、色んなやりたいことが沢山出てくるんです。

でも人が足りなくてできないよね。という話になるんですよね。採用で補うのか、他の会社で補うのかという検討になると思うのですが、北海道の中にも色んなIT関連の企業がありますよね。「やりたいことは増えたけど、人手が足りない」という所のお手伝いをしていただけるような、力添えを期待しています。

―入澤:なるほど。DX進めようとするとやりたいことが沢山出てくるから、人が欲しくなる。内製化すればするほど、ニーズが生まれてくる訳ですね。今後のデジタル化をとても楽しみにしています!本日はありがとうございました!


入澤取材後記

今回の取材でとても印象的だったのが、一つ目に「DXが進むと結果としてIT業界としてのパイは大きくなる」ということです。



私は、ユーザー企業の中にデジタル人材をもっと増やしていく取り組みをして行くべきと考えています。一方でそれは、既存IT企業にとっては、「ITのわからない会社さんのお手伝いをしていて、自分たちは飯を食えてるのに」ということもあり、それが結果として仕事を奪われるのでは?と思われることも多いです。しかし、ユーザー企業内にITに精通している人がいることで、要件が整理され、もっとやりたいことが増え、結果的に需要が創出されるという風に私は思っています。今回の鈴木商会さんのお話の中でも「やりたいことがたくさんあるんだけど、人が足りない」という話がありました。もし、EZOTECがなければ、こういう需要すらなかったのだと思います。



2つ目に「出会い」です。やはりどの会社さんもDXを進めるうえで、IT人材の採用に苦労されています。IT人材といっても、まず一人目を採用するとしたら「プログラムが書ける人」を探しがちです。しかし、実際には「世の中のテクノロジーを理解し、チームを作れて、社内のプロセスを変革させれる人」が必要なんです。つまり、なかなかそういう人は採用できません。そういう人に出会えたことも、ある意味駒谷社長の「執念」だと思います。DXにはトップの執念が一番大事だと思いますが、採用にこそ執念を燃やすことが、まず必要なのだと改めて感じました。


3つ目に、駒谷社長も、谷藤社長もフォーカスが「内製化で自社のDX」だけではなく、その先を考えているということです。「業界に横展開で売っていきたい」という次の戦略が明確にありました。冒頭「この業界は遅れてる」というお話がありましたが、駒谷社長としては「この遅れてる業界を自分たちの手で先に進めるんだ!」という強い思いがあるのだと思いました。自社のビジネスの変革だけではなく、業界全体の変革を望んでいる駒谷社長のビジョンにとても共感しました。目的は自社、そして業界の発展。その手段としてのDXというわけです。



鈴木商会さんのような環境貢献事業を営んでいる会社がデジタルで効率化され発展していくことで、さらに地球環境にとっていい影響を与えてくれると思います。これからの鈴木商会さん、EZOTECさんの発展を楽しみにしております。


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